メディコンパス/2024年4月取材:Southern TOHOKU Healthcare Group.

南東北病院グループ / リハビリテーションへの取り組み(5)

最新の手の訓練用ロボットを導入し一人ひとりに最適なリハビリを提供

南東北グループ
東京リハビリテーションセンター世田谷
リハビリテーション部門
渡辺 重人 科長
Shigeto Watanabe
 

東京リハビリテーションセンター世田谷 セラピスト数
PT 68名 / OT 28名 / ST 14名

複合施設の中の回復期病院

 東京リハビリテーションセンター世田谷は、回復期リハビリテーション病院、介護老人保健施設、障害者支援施設などを有する大規模複合施設です。
 世田谷リハビリテーション病院は、その中の回復期リハビリテーション病院として存在しています。
 私たちセラピストは、施設全体のリハビリテーション部門に所属し、回復期リハビリテーション病院など、それぞれの部署に配置されています。
 世田谷リハビリテーション病院は、ほかの急性期病院で治療を終えられた方が転院して来られて、入院生活を送りながら回復期リハビリに取り組み、在宅復帰を目指します。
 回復期リハビリ病院は入院できる期間の上限が180日と決まっているので、期限内に在宅復帰に間に合わなかった患者さんは、当センターの6、7、8階にある介護老人保健施設に移られて、リハビリを行い、それからご自宅へ戻られるというケースも多くあります。もちろん、老健に入るには、要介護の認定が必須になりますが、こうした連携は、患者さんや地域の皆さんの安心に繋がっているかと思います。
 また、世田谷区や近隣の方であれば、ご自宅に戻られた後も、当センターでの介護保険の通所リハビリ、障害者総合支援法に基づく通所による自立訓練を受けることができます。
 オープンから5年が経ち、そうした流れによって復職まで達成できたという成果も得られています。

手の訓練用ロボットタイロモーションシステム

 世田谷リハビリテーション病院では、手の訓練用ロボットとして、タイロモーションシステムを導入しています。国内でも上肢リハビリテーション用のロボットは、導入施設がまだ少ないため注目されています。
 タイロモーションシステムは、コンピュータがアシストし、手指、前腕、肩の運動などに合わせて最適なリハビリテーションプログラムを提供します。障害レベルに合わせながら、ゲーム感覚でトレーニングしたり、洗濯物を干すような実生活の作業動作に合わせたリハビリも可能です。

タイロモーションシステム

タイロモーションシステムでの手指の訓練

ゴーグルを用いたバーチャルリアリティ(VR)による上肢麻痺リハビリの様子

TMS治療

 TMS治療(経頭蓋磁気刺激)は、頭を磁気で刺激して脳の特定部位の神経活動を活発化し、脳卒中などの障害で崩れた脳の左右のバランスを整えたりして、麻痺を改善しやすくする治療法です。
 当院は、日本スティミュレーションセラピー学会のNEURO®(ニューロ)施行施設として認定を受けています。認定を受けているのは、全国で17施設です。
 TMSは総合東京病院が導入しているものと同じですが、当院の場合は、回復期リハビリ病棟に入院された脳卒中後の上肢麻痺の方などを対象に実施しており、運用の仕方が異なっています。
 運動麻痺に対しては、さまざまなタイプの電気刺激治療機器を用いて治療を行っています。

TMS治療(経頭蓋磁気刺激)

様々な電気刺激治療機器(運動麻痺の治療)

セラピスト同士の連携

 当センター全体のセラピスト数は110名を数えます。それぞれが、医療、福祉、介護と、持ち場は違っても、勉強会などで顔を合わせることが多く、それぞれの情報を共有し、患者さん、利用者さんのいろいろな側面を互いに知ることができます。
 セラピスト同士で、ダイレクトに患者さんの情報を伝え、リハビリに活かすことができるのは、大規模複合施設の良いところだと思います。

 

■ 情報ワンポイント

 東京リハビリテーションセンター世田谷は、高齢者施設、障がい者(児)施設と、回復期リハビリテーション病院とを合わせた大規模複合施設です。
 世田谷リハビリテーション病院(92床)は、その中の回復期リハビリテーション病院にあたります。外来診療はありません。

世田谷リハビリテーション病院

入院個室

リハビリテーション室

一般財団法人 脳神経疾患研究所
世田谷リハビリテーション病院
東京都世田谷区松原6丁目37番1号
東京リハビリテーションセンター世田谷 内
アクセス
● 小田急線梅ヶ丘駅北口より徒歩5分
● 小田急線豪徳寺駅、世田谷線山下駅から徒歩9分
● 渋谷駅から➡小田急バス 渋54 経堂駅行 乗車時間21分 光明学園前下車

[南東北病院グループ / リハビリテーションへの取り組み 目次 ]

 
特集セラピスト:はじめに
社会生活への復帰を支える南東北グループのリハビリテーション
 南東北グループ リハビリテーション部門 山口 和之 ゼネラルマネージャー

救命救急治療を終えた方、手術をされた方の急性期リハを担う
 総合南東北病院 リハビリテーション科 若林 由起子 科長補佐に聞く

急性期から回復期、在宅までを担う 首都圏リハビリテーションの拠点
 総合東京病院 リハビリテーション科 原島 宏明 科長に聞く

急性期に加えて回復期病棟を新設最新のADL室でトレーニング
 新百合ヶ丘総合病院 リハビリテーション科 松本 恭徳 主任に聞く

最新の手の訓練用ロボットを導入し一人ひとりに最適なリハビリを提供
 世田谷リハビリテーション病院 リハビリテーション部門 渡辺 重人 科長に聞く

脳卒中のリハビリに強みリハビリロボットも7年の実績
 総合南東北病院(岩沼市)リハビリテーション科 安孫子 洋 課長に聞く