PET-CT検査を軸に「がん」の早期発見に威力
- PETは今まで発見しにくかった小さな「がん」を高い確率で見つけ出すことができる画期的な検査方法です。
- PET-CTは、がん細胞の活動状況を画像化するPETと形状をみるCTを重ね合わせ、精度の高い検査と正確な診断を可能とします。
- PET-CTは、PETとCTを一度に撮影できるため、肉体的・精神的な負担をより少なくした検査が可能となります。
- PET-CTがんドックでは、これに他の多様な検査を組み合わせることによって、より正確な診断を行い、全身の小さながんの発見につなげます。
PET検査とは?
陽電子放射断層撮影装置のことで、PositronEmissionTomography(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)の略語です。X線CTのような形をした「カメラ」を用いて全身や心臓、脳などにおいて、病気の原因や病巣、病状を的確に診断する新しい検査法です。
検査では、まず、陽電子(ポジトロン)を放出する検査薬(おもにブドウ糖と結合させた18F-FDG)を静脈から注射します。その陽電子が、体内のブドウ糖を過剰に摂取する細胞(代表的なものはがん細胞になります)から放出されたガンマ線を見つけ出します。それを「カメラ」でスキャンすると、その部分が光って見えるためがんの早期発見が可能となります。
ガン細胞は正常な細胞に比べて約3~8倍のブドウ糖を消費する性質があり、その細胞の性質を利用して、PET検査では主にがん検診として利用されます。
PET-CTは、PETにCTの機能を組み合わせた画像診断機器です。がん細胞の活動状況を画像化するPETと形状を見るCTを重ね合わせ、精度の高い検査と正確な診断を可能とします。
PET検査の特長
■ 早期発見
従来の検診では発見しにくかったがんを発見することができます。
がんの種類によって異なりますが、多くのがん細胞は約10~20年の長い年月をかけて成長していきます。その後、急に成長を早めます。
この増殖をはじめる前にPET検査によって早期発見し、早期治療をしていきます。
■ 30分で全身スクリーニング
【がんのPET検査では、何がわかるの?】
がん細胞は正常の細胞よりも分裂が盛んに行われるため、グルコース(糖分)がたくさん必要とされます。
そのため、18F-FDGというくすりを静脈から注射すると、がんの病巣にたくさん集まります。その様子をPET装置で身体の外から撮影すると、がんがどこにあるか、がわかります。しかも、予想外の病巣を見つけることができるので、早期治療に役立ちます。
■ 細胞の悪性度を診断
PETでは細胞の活動状態を視覚的にとらえ、がんを発見し、しかも、腫瘍の性質の推測もできます。
がんの広がりの程度(病期)の診断ができます。それによって治療の選択が決定できます。
がんの治療効果の判定ができます。
抗がん剤や放射線治療の効果が判定できます。
がんの転移・再発が判定できます。
■ 安全度の高い検査
PET検査では、放射線を出すポジトロン核種で標識したくすりを静脈から注射、あるいは呼吸によって吸入しますので、わずかですが放射線をあびます(=被ばく)。
たとえば、18F-FDGというくすりを注射してPET検査を一回受けると、およそ3.5mSv(ミリシーベルト)になります。これは、人が地球上で普通に暮らしていて、大地や宇宙からの放射線、体内にある放射性元素などによって被ばくする平均的な線量である2.4mSv*の約1.5倍の量ですが、胃のX線検査よりは低い数値です。ただし、最近のX線CTを組み込んだPET/CT検査を実施する場合、X線CTによる被ばく(数mSv〜十数mSv)が加わります。
(*2.4mSv:国連科学委員会の報告書による世界平均の被ばく量です。)
日本核医学会 社団法人日本アイソトープ協会発行「PET検査 Q&A」より引用
PET-CTによる検査画像の一例
【正常例】
PET検査で正常な場合は、このような画像になります。脳と心臓が赤く染まっている理由は、2つの臓器が絶え間なく活発に動いていて、検査薬に含まれるブドウ糖を多く消費するためです。
また、腎臓やぼうこうは体内から排出された検査薬が溜まりやすいため、集積がみられます。
【膵がん】
PET-CTで検査を実施しました。
矢印の先にある点が、膵臓にできたがん細胞を示しています。
PET-CTで検査を行ったことにより、がんの存在だけでなく、がんの正確な位置や大きさ、状態をみてとれます。
そのほか、病院ホームページでは、PET検査画像例として、肺がん、前立腺がん、甲状腺がんと脊椎転移、子宮がん、乳がんとリンパ節転移の画像が紹介されております。