メディコンパス/2024年4月取材:Southern TOHOKU Healthcare Group.

南東北病院グループ / リハビリテーションへの取り組み(4)

急性期に加えて回復期病棟を新設最新のADL室でトレーニング

南東北グループ
新百合ヶ丘総合病院 リハビリテーション科
理学療法士
松本 恭徳 主任
Yasunori Matsumoto
 

新百合ヶ丘総合病院 セラピスト数
PT 89名 / OT 28名 / ST 14名

急性期の早い段階から介入

 新百合ヶ丘総合病院は、高度な急性期医療のニーズにも応える総合病院として出発しました。現在は新棟も建設され、回復期病棟も整備されています。
 リハビリは急性期の早い段階から介入します。寝たきりを防ぐことが大事ですから、不必要に安静にしているのではなく、1日のうちおよそ20〜40分の間は身体を起こしていただくようにしています。そうすることで、離床や回復が早まるということがあります。
 急性期後は、そのまま退院される方もいらっしゃいますが、まだリハビリが必要なら、回復期病棟に移ります。
 患者さんは、心臓、脳血管障害の方が多いのですが、当院に外傷再建センターが誕生して以降は、外傷や整形外科の患者さんが多くなっています。そのため、回復期病棟では、骨折治療などの固定具をつけた状態でリハビリに取り組む患者さんの姿も多く見られるようになってきました。外傷の患者さんは、関東全域の広範囲からいらっしゃいます。

回復期リハビリテーション

 回復期病棟とは、急性期の後、自宅や社会に戻ってからの生活を少しでも以前の状態に近づけるためのリハビリテーションを専門に行う入院病棟です。
 寝たきりの予防と、それぞれの患者さんの機能の回復を促しながら、残された能力を最大限に引き出し、家庭復帰や社会復帰、QOLの向上などを目標に支援していきます。
 回復期病棟は、自宅の生活に戻ることがひとつの目標です。入院生活をそのままリハビリとして考えます。
 病院前の坂道を歩いたり、電車やバスに乗る練習もします。暮らしていく上では、お金がしっかり払えたり、人混みを避けて歩けるか、車に乗り込めるかということも大事ですから、そうした練習も行います。
 新棟の5階には、ADLルーム(注)があります。ご自宅の一室に近い環境で、日常生活の練習ができるスペースです。実際に料理を作ったり、トイレを使ったり、お風呂に入る練習をしたりと、家に戻ったときを想定したリハビリが提供できます。それぞれの背丈に合わせて流し台を上げ下げし、最適な高さで動作練習ができる最新の設備です。

心臓のリハビリ

 新百合ヶ丘総合病院では、近辺の大学病院などとも協力して、心血管病の救急医療の専門診療にも力を入れています。リハビリテーション科としても、こうした疾患に対して専門的なアプローチを行っています。急性期だけでなく、回復期でも継続してリハビリを行い、外来でも対応するなど、地域医療に貢献できるよう頑張っている最中です。

リハビリは継続が大切

 私たちは、患者さんに真摯に向き合い、良くなるきっかけになるようなリハビリを心がけています。
 退院後の外来はそれぞれのニーズがありますから、関節をよく動かしたり、筋力をつけるために運動をするなど、個別に対応します。
 外来通院は、鎖骨骨折なら、半年くらいのリハビリが必要になります。ところが、長期間になると、どうしても通院を継続できない患者さんもいらっしゃいます。お年寄りの方では、リハビリは痛いからと、敬遠されることもあるのですが、リハビリは継続が大切です。悩んでいることがあれば相談してみてほしいと思います。
 最後になりますが、ご自宅でできる運動を動画にまとめ、ホームページで公開しています。ぜひ参考にしていただき、予防を含めたリフレッシュ運動として活用していただければ幸いです。

(注)ADLとは、Activities of Daily Livingの略。日常生活を送るために最低限必要な動作のこと。高齢者などの身体機能を測る指標として用います。

B棟5階 ADLルーム

B棟5階 リハビリテーション室

B棟3階 リハビリテーション室

 

■ リフレッシュトレーニング動画のご紹介

 新百合ヶ丘総合病院リハビリテーション科では、自宅でできるトレーニングや、日常の健康に役立つストレッチ、筋力トレーニングの仕方などを動画で分かりやすく紹介しています。
 リハビリテーション科によるトレーニング動画は、「新百合ヶ丘総合病院リハビリテーション科 トレーニング動画」で検索すると、一覧ページにアクセスできます。
 膝関節、認知体操、肘・手首、肩甲骨と肩、頸部、嚥下体操など、盛りだくさんの内容です。
 ご自宅でのトレーニングにぜひご活用ください。

 

写真をクリックして、動画をご覧ください。

新百合ヶ丘総合病院

新百合ヶ丘総合病院

新百合ヶ丘総合病院 全体像

医療法人社団 三成会 新百合ヶ丘総合病院
神奈川県川崎市麻生区古沢字都古255
アクセス
● 小田急線「新百合ヶ丘駅」から病院坂下まで徒歩約13分
● 病院坂下から病院送迎無料ワゴン車
● 新百合ヶ丘駅南口小田急バス3番乗り場から直通バス運行…約5分

[南東北病院グループ / リハビリテーションへの取り組み 目次 ]

 
特集セラピスト:はじめに
社会生活への復帰を支える南東北グループのリハビリテーション
 南東北グループ リハビリテーション部門 山口 和之 ゼネラルマネージャー

救命救急治療を終えた方、手術をされた方の急性期リハを担う
 総合南東北病院 リハビリテーション科 若林 由起子 科長補佐に聞く

急性期から回復期、在宅までを担う 首都圏リハビリテーションの拠点
 総合東京病院 リハビリテーション科 原島 宏明 科長に聞く

急性期に加えて回復期病棟を新設最新のADL室でトレーニング
 新百合ヶ丘総合病院 リハビリテーション科 松本 恭徳 主任に聞く

最新の手の訓練用ロボットを導入し一人ひとりに最適なリハビリを提供
 世田谷リハビリテーション病院 リハビリテーション部門 渡辺 重人 科長に聞く

脳卒中のリハビリに強みリハビリロボットも7年の実績
 総合南東北病院(岩沼市)リハビリテーション科 安孫子 洋 課長に聞く