メディコンパス/2024年8月取材:Southern TOHOKU Healthcare Group.

南東北病院グループ / 高齢化社会を支える南東北グループの介護施設(4)

リハビリ介護サービスを通して三春町とその周辺の高齢者を支える

南東北グループ
一般財団法人 脳神経疾患研究所
介護老人保健施設
三春南東北リハビリテーション・ケアセンター

武藤 克哉 主任
Katsuya Mutoh
介護福祉士
介護老人保健施設 リスクマネージャー
 

超強化型の老健施設

 三春南東北リハビリテーション・ケアセンターは、要介護の認定を受けた高齢の方とご家族が安心して在宅生活を続けられるように、入所を含めて、看護、介護、リハビリテーション、栄養管理などのサポートをする老健施設(介護老人保健施設)です。
 老健の中でも特にリハビリに力を入れ、在宅支援機能が高い超強化型に位置付けられています。滝桜で有名な三春町ではただひとつの老健で、開設から今年で17年目を迎えました。

地域のリハビリの中心的な役割を担う

 リハビリの専門職員はPT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)の合計13人が在籍しています。これだけのスタッフがいる老健施設は、私たち南東北グループ以外ではあまりないと思います。
 地域リハビリ相談センターにも指定されており、リハビリ職員2名が三春町の介護保険認定審査会に参加するなど、地域のリハビリの中心的な役割も担っています。
 当施設が提供する介護サービスには、入所(定員100名)と通所リハビリ(定員50名)、訪問リハビリがあります。
 入所施設は、個室と多床室(4人部屋)があり、リハビリを通して在宅復帰を目指すとともに、日常のケアや自立支援のためのお手伝いをします。ショートステイ(短期入所)として、自宅で介護ができない際の一時的な受け入れも行っています。
老健から自宅に戻られる際には、おむつ交換、ベッドや車いすからの移乗方法、食事介助、内服介助と管理のポイント、経管栄養や胃ろう者の対応方法などを家族の方にお伝えし、在宅での療養や介護に役立てていただきます。
 当センターでは、専属の歯科衛生士が常駐し、口腔ケアの指導にも力を入れています。義歯が合わないなどのトラブルをチェックしたり、入所中の歯科往診に対応し、口腔内を清潔に保つことで誤嚥性肺炎の予防などにも寄与します。
また、食事の面では、管理栄養士が毎月趣向を凝らし季節を感じていただけるような行事食を提供しており、利用者さんからも好評をいただいています。

認知症介護のポイント

 認知症の方は急に怒り出したり、落ち着かなくなることがあります。気をつけたいのは、自立歩行ができない方が急に立ち上がると、転倒リスクが高くなることです。利用者さんのなかにも夕方になるとそわそわと席を立とうとする女性の方がいて、どうしてなのか理由をうかがうと、「息子が帰ってくるから、ご飯をつくるんだ」ということでした。そうした気持ちを否定せずに受け入れ、やさしく声かけをして話に合わせてあげていると徐々に落ち着いてきます。
 認知症の方を家庭で介護するのはとても大変なことですが、まず家族が病気を受け入れ対応していくことがとても大切です。
 認知症の方の入所をお断りするという施設も多いのですが、当センターでは南東北グループの方針に沿って、どんな認知症の方も断らず受け入れるようにしています。また、今年から認知症ケア委員会を立ち上げ、認知症ケアをさらに強化し、認知症の方に寄り添う介護に努めています。

高齢者がいきいきと暮らす三春町を目指して

 介護予防にも積極的に取り組んでいます。三春町からの要請もあり、高齢者が気軽に参加できる通いの場(サロン)では、簡単な講演や運動などを行い、地域の皆さんとの交流を深めています。主なテーマは、認知症予防、お口の健康、低栄養予防(老化予防を目指す食生活)、フレイル予防(加齢による虚弱)などです。
 ほかにもさまざまなイベントを企画し、自立支援につながる活動にも力を入れてきました。当センターには医療用のトレーニングマシンが充実しており、高齢者も安全にトレーニングできるパワーリハビリテーションを実践しています。
 コロナ禍前には、そのトレーニングジムを週1回、地域の皆さんに無料で開放し、健康増進に役立てていただいていました。コロナ禍でしばらく中止しておりますが、今後は以前のように再開していく予定です。
 また、地元の小学生や中学生の福祉体験学習を積極的に受け入れ、利用者さんたちとの交流を通して、介護や認知症への理解を深めていただいています。参加した子供たちが、実際に介護職を志すということもあって、手応えのある活動になっています。

施設の庭にある満開の桜 

リハビリテーション室

入所個室

■ 情報ワンポイント

  三春南東北リハビリテーション・ケアセンターは三春町の小高い丘の上に開設された老健施設です。隣地には介護・健康・食などをテーマとした民間の複合施設「エルフィット三春」があり、センターでのリハビリを終えた利用者が、まだ自宅に戻るのに不安がある場合、エルフィット三春の居住棟(賃貸型住宅)に入居されることもあります。
 入居された方は、その後も当センターの通所リハビリや訪問リハビリを継続したり、エルフィット三春が運営するデイサービス事業を利用するなど、相互に介護サービスの連携が図られています。

三春南東北リハビリテーション・ケアセンター

エルフィット(L-FIT)三春

三春町 滝桜

一般財団法人 脳神経疾患研究所 介護老人保健施設
三春南東北リハビリテーション・ケアセンター
ISO9001(品質)・ISO 14001(環境)認証取得
福島県田村郡三春町大字山田字クルミヤツ3-3
アクセス
● JR磐越東線 舞木駅から約2Km(車で約5分)
● JR東北本線 郡山駅から約8Km(車で約15分)
● 磐越自動車道 郡山東ICから約2Km(車で約3分)
● 総合南東北病院から約8Km(車で約10分)

[南東北病院グループ / 高齢者介護への取り組み 目次 ]

 
特集 高齢化社会を支える南東北グループの介護施設

人生のさまざまなステージを支援 すべては利用者さんのために
 総合南東北福祉センター 南東北ロイヤルライフ館 佐久間 文彦 施設長に聞く

緑豊かな江古田の森の一画にある日本最大級の総合福祉センター
 東京総合保健福祉センター 江古田の森 中島 寛子 施設長に聞く

その人らしさを大切にするダイバージョナルセラピーを実践
 総合南東北福祉センター八山田 坂井 貴子 施設長に聞く

リハビリ介護サービスを通して三春町とその周辺の高齢者を支える
 三春南東北リハビリテーション・ケアセンター 武藤 克哉 主任に聞く