メディコンパス/2024年8月取材:Southern TOHOKU Healthcare Group.

南東北病院グループ / 高齢化社会を支える南東北グループの介護施設

ケアワーカーインタビュー

医療、リハビリ、介護サービスが途切れることのないグループ体制

 南東北グループは、首都圏や大阪、東北に120以上の医療・介護・福祉施設を展開し、9000人を超える職員が所属しています。グループ法人共通の理念は、「すべては患者さん、利用者さんのために」。人生のさまざまなステージを支えるトータルケアを目指し、介護・福祉事業にも力を入れてきました。少子高齢化が進むなか、社会的なニーズが高まる高齢者介護への南東北グループの取り組みをご紹介します。

医療、介護、福祉を通してそれぞれの生涯を支える

 南東北グループは、1981年の脳神経外科を専門とする病院の開設に始まり、高度医療から、リハビリ、介護、在宅支援、福祉をカバーする一大総合グループに成長しました。
 介護や福祉の領域に踏み出したのは、脳神経外科医である渡邉一夫総長(メディコンパスクラブ理事長)が急性期の脳外科手術を追求していくなかで、命を救う医療だけでは解決しない患者さんの機能回復や日常生活支援の必要性を痛感したことに始まります。
 そこで模索されたのが、リハビリテーションの導入です。当時まだ一般的ではなかった回復期リハビリや在宅支援が医療と一対のものとして位置付けられ、退院後の患者さんを支える体制が構築されていきます。90年代には、老健(介護老人保健施設)、特養(特別養護老人ホーム)、通所リハビリ、デイサービス、ケアハウス、障がい者支援施設などが次々に開設され、介護、福祉体制が拡充されました。
 2000年には介護保険制度が始まりますが、南東北グループの構想はそれに先行し、医療と介護の一体的な体系として強化され、現在に至っています。
 このようにして、高齢者、障がい者、障がい児を支え、地域社会を支える南東北グループの体制は築かれてきました。

介護が必要になった原因と介護への取り組み

 日本の高齢化は進んでいます。2025年にはおよそ3人に1人が65歳以上の高齢者になると試算されており、介護サービスへの需要は、今後一層増加することが予測されています。
 介護が必要となった主な原因として挙げられているのは、第1位が認知症、第2位が脳卒中(脳血管疾患)です(図1)。これらの病気を予防することは、介護予防にも有効なアプローチとなります。
 認知症は誰もがなり得る病気で、2065年には65歳以上の高齢者のうち、3人に1人が認知症または軽度認知障害になるという推計があります。
 脳卒中は命に関わるだけでなく、後遺症により介護が必要となることが多く、認知症と並んで高い割合を占めています。
 介護が必要となる原因には、ほかにも転倒骨折や関節の病気などさまざまなものがありますが、高齢になれば、日常生活を送るうえで何らかの介助が必要になるのは自然な流れでもあります。
 訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)、老健、特養など、介護の現場では、利用者1人ひとりの尊厳と自由を保ちながら、それぞれのニーズに応える適切な介護の実践が進められています。
 「すべては利用者さんのために」。利用される皆さんが笑顔で自分らしく毎日を送れるよう、スタッフが誇りをもって介護に取り組んでいます。

健康寿命と平均寿命
将来の介護に備えるために 


 健康寿命は、健康上の問題がなく暮らせる「介護を必要としない」期間のことです。それに対して平均寿命は、「日常的な介護を必要とする人」も含まれています。
 健康寿命と平均寿命の差は女性で約12年、男性では約9年とされています。健康寿命と平均寿命の差をできるだけ少なくし、健康寿命を延ばすためには、疾患の予防や、早期発見・早期治療が有益とされています。
 もしも何らかの介護が必要になったとき、支えになるのが介護サービス事業。南東北グループでは介護領域においても充実した体制が築かれています。

介護保険制度と専門職

要介護度とケアマネジャーの役割

 介護保険サービスをどれだけ受けられるかは、要介護度によって決まります。
 要介護度は自治体が実施する認定調査で、要支援が1〜2、要介護が1〜5の合計7段階に分けられます。自治体への申請はケアマネジャー(介護支援専門員)に代行してもらうことができます。
 どんな介護サービスを利用するかは、ケマネージャーに相談し、ケアプランを立ててもらい決めていきます。ケアマネジャーは、介護保険制度のなかに位置付けられる専門職で、家族とサービス提供事業所をつなぐ調整役であり、必要なサービスを紹介、手配してくれます。

介護を担う専門職

 介護の現場を担うのは、ケアワーカーと呼ばれるスタッフです。ケアワーカーという呼称は介護職全般を指しますが、その中でも専門的な知識や技能を持ち、介護の現場を支えるのが介護福祉士で、国家資格を取得しています。
 介護福祉士は、介護が必要な人に対して食事などの生活支援に加え、トイレ、入浴などの介助を提供します。さらに、高齢者とのコミュニケーションを通じて精神的なサポートをする役割も担っています。
 また、ソーシャルワーカーとして福祉的援助を行う社会福祉士も介護を支える専門職です。国家資格を持ち、高齢者、障がい者、障がい児やそのご家族の相談に応じたり、行政機関とも連携して社会的支援を行います。

[南東北病院グループ / 高齢者介護への取り組み 目次 ]

 
特集 高齢化社会を支える南東北グループの介護施設

人生のさまざまなステージを支援 すべては利用者さんのために
 総合南東北福祉センター 南東北ロイヤルライフ館 佐久間 文彦 施設長に聞く

緑豊かな江古田の森の一画にある日本最大級の総合福祉センター
 東京総合保健福祉センター 江古田の森 中島 寛子 施設長に聞く

その人らしさを大切にするダイバージョナルセラピーを実践
 総合南東北福祉センター八山田 坂井 貴子 施設長に聞く

リハビリ介護サービスを通して三春町とその周辺の高齢者を支える
 三春南東北リハビリテーション・ケアセンター 武藤 克哉 主任に聞く