南東北病院グループ / リハビリテーションへの取り組み(3)
急性期から回復期、在宅までを担う首都圏リハビリテーションの拠点
総合東京病院 リハビリテーション科
理学療法士
原島 宏明 科長
Hiroaki Harashima
PT 142名 / OT 44名 / ST 23名
【 東京総合保健福祉センター江古田の森 】
PT 138名 / OT 3名 / ST 4名
リハビリテーション科とは
リハビリテーション科は、疾病や外傷などで生じる障害に対して、患者さんの能力を最大限に引き出し、QOL(生活の質)の改善、社会復帰を目標に診療を行います。そのため医師、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、ソーシャルワーカー、管理栄養士、薬剤師などがそれぞれの専門性を活かしてチーム医療を行っていきます。
TMS治療
脳卒中の後遺症の方に対するTMS治療(経頭蓋磁気刺激)は当院の特色のひとつです。
磁気刺激を頭に与え、脳のもつ機能代償能力(障害を補う力)を最大限に発揮させようというもので、全国17カ所の認定施設で行われています。TMSを行うと、脳卒中の後遺症の方の固くなっている手が柔らかくなってきます。われわれはもう1500人以上を治療してきました。当院では2週間の入院パッケージというかたちで行っています。
患者さんの年齢は比較的若く、現役で働いている方が多いようです。リピーターも多く、1年後の入院治療を予約して帰られる方もいらっしゃいます。入院して帰ったときは物をつかんだり、歩いたり、エレベーターのボタンを押すのもスムーズだったのに、時間が経つとなかなかうまくいかなくなってくるので、定期的にTMS治療を受けたいということです。結果に満足いただいているかと思います。
ささいなことのように思えるかもしれませんが、指や体が動くようになり、お財布を開けられるようになっただけでも、感動される方が多いんです。生活の質が変わります。
*TMS治療とは、Transcranial Magnetic Stimulationの略称で、経頭蓋磁気刺激と言います。
骨盤底リハビリ外来
骨盤底リハビリ外来も、当院の特色と言えます。泌尿器科、婦人科、肛門外科の医師と協力してリハビリを行います。
女性の体は年齢とともに変化してきて、特に骨盤底筋が弱って尿漏れなどが起きることがあります。その予防改善に効果のある骨盤底筋体操というトレーニングを取り入れ、女性の理学療法士がリハビリを実施しています。外来部門としては特殊で、注目されています。
充実したリハビリ体制
総合東京病院は、急性期から回復期、退院後の生活まで、一貫したリハビリテーションを提供しています。
回復期病棟でのリハビリについて言えば、当院は在宅への復帰率が高いです。リハビリは基本的に20分が1単位で、診療報酬上の上限がありますが、その人の体力や希望などを考慮してリハビリの時間を決めます。1日に2〜3時間リハビリができれば、やらなかったときとの差が大きくなります。当院はしっかりとリハビリに取り組むためのスタッフや体制が充実しています。
専門性と質を高める
最近では、セラピストの認定資格や専門資格が整備されてきています。私は、南東北グループの首都圏リハビリテーション部門のゼネラルマネージャーも務めていますが、呼吸療法、心臓リハ、心不全療養、糖尿病療養、急性期ケア、認知症ケアなど、学会の認定資格や関連する専門資格を積極的に取得するセラピストも増えてきました。
リハビリは、今後一層社会から必要とされるようになるでしょう。スタッフ一同、患者さんの身体機能、日常生活動作(ADL 注)能力を高め、在宅復帰、社会復帰のサポートに一層力を注いでいきます。
(注)ADLとは、Activities of Daily Livingの略。日常生活を送るために最低限必要な動作のこと。高齢者などの身体機能を測る指標として用います。
* ADL室では、キッチンでの料理や、立つ、座る、布団を敷くなど、日常生活を送るための動作を訓練します。
■ 情報ワンポイント
総合東京病院は、急性期から回復期、退院後の生活まで、一貫したリハビリテーションをシームレスに提供しています。
すぐ近くに介護老人保健施設などを有する東京総合保健福祉センター江古田の森があります。
両施設の新人セラピストは、急性期、回復期、在宅、そして江古田の森の介護保険によるリハビリを1年間ローテーションし、「急性期」「回復期」「生活期(維持期)」というリハビリ全体の流れを経験します。
■ 骨盤底筋トレーニング法の解説動画
総合東京病院ホームページの「骨盤底リハビリ外来」のページで、骨盤底筋の仕組みやトレーニング法の解説動画をご覧いただけます。骨盤底筋の動かし方や、日常生活に取り入れるヒントを分かりやすく解説しています。
東京都中野区江古田3-15-2
[アクセス]
● 練馬駅、野方駅から無料シャトルバス運行
● 中野駅、練馬駅から路線バス運行
● 新江古田駅、沼袋駅から徒歩15分
[南東北病院グループ / リハビリテーションへの取り組み 目次 ]
〇 特集セラピスト:はじめに
① 社会生活への復帰を支える南東北グループのリハビリテーション
南東北グループ リハビリテーション部門 山口 和之 ゼネラルマネージャー
② 救命救急治療を終えた方、手術をされた方の急性期リハを担う
総合南東北病院 リハビリテーション科 若林 由起子 科長補佐に聞く
③ 急性期から回復期、在宅までを担う 首都圏リハビリテーションの拠点
総合東京病院 リハビリテーション科 原島 宏明 科長に聞く
④ 急性期に加えて回復期病棟を新設最新のADL室でトレーニング
新百合ヶ丘総合病院 リハビリテーション科 松本 恭徳 主任に聞く
⑤ 最新の手の訓練用ロボットを導入し一人ひとりに最適なリハビリを提供
世田谷リハビリテーション病院 リハビリテーション部門 渡辺 重人 科長に聞く
⑥ 脳卒中のリハビリに強みリハビリロボットも7年の実績
総合南東北病院(岩沼市)リハビリテーション科 安孫子 洋 課長に聞く